湿潤療法ってどんな治療法なのでしょうか?
その前に、そもそも「傷が治る」とはどういうことなのかを考えてみましょう。
打ち身、切りキズ、擦りキズ、やけどなど、色々な「傷」がありますが、いずれも人体の一部の組織が損傷された状態に他なりません。そして「傷が治る」とは、損傷された人体の組織が修復されることと言えるでしょう。
細胞が育つことで組織は修復されますが、細胞が育ちやすい環境、すなわち湿潤した環境を保つことで傷の治りを促す、という治療方法が湿潤療法なのです。
傷口に消毒液をつけたりガーゼをのせるという従来の方法でも、もちろん傷は治ります。しかし、最善の方法ではありません。消毒液は病原体だけでなく正常な細胞にもダメージを与えてしまいますし、ガーゼで覆われた傷は乾燥して、細胞が育ちにくくなってしまうのです。
人体には傷を自然に治すシステムが備わっています。再生する組織や細胞にとって最適な環境を積極的に用意して、人体の本来の治癒能力を最大限に生かす治療方法が湿潤療法なのです。
傷口から出る滲出液には傷の治りを進める働きがありますが、多すぎると周りの皮膚にかぶれを起こすこともあり、実際の湿潤療法では「傷の水分量(滲出液量)のコントロール」が重要になります。
傷に必要な水分量(滲出液量)を保ち余分なものを吸収してくれる「創傷被覆材」を使って治療を進めていきます。
創傷被覆材を使用すると傷が乾燥しないため、剥がす時の痛みは少なく、回復しようとする細胞を壊さずに早くきれいに治すことができます。
傷の状態は日々変化します。その時の傷の状態によって、湿潤環境を保つために最適な素材・形・大きさの被覆材を選択する必要があります。
原則として、治療を始めてからしばらくは毎日通院して頂き、傷の状態に必要な被覆材を選び交換していきます。傷の回復状況によって通院間隔をあけていくことができます。(個人差がありますので、診察時にその都度お伝えしていきます。)
創傷被覆材は様々な素材・形・大きさのものが開発されています。
傷の状態に合わせ、適切な被覆材を選択していきます。
傷からの余分な滲出液を吸収して保つ効果がある、ポリウレタンフォーム製の被覆材。
傷と被覆材を保護するポリウレタンフィルムなどで貼って使用します。
滲出液が少ない傷に密着して保護し、湿潤環境を保つハイドロコロイド製の被覆材。
つるおかクリニック
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